「今じゃ何だって写真に撮れるさ!」と語ったのは写真集「アメリカ人」
で世界の写真家に影響を与えたロバート・フランクです。
彼の言葉通り、現代は銀河系から細菌まであらゆる写真=影像が
溢れていて「視る」事の体験は限りなく広がっています。
写真が発明される以前、例えば江戸時代の人々と比較して
現代人である私たちの方が高い教養を持ち合わせていると
考えるのは錯覚です。
(今回は少々堅い話になりそうです)


確かに現代人の方が江戸時代人より物知りではあるでしょう。
彼らの知らなかった事物を我々は数多く知っていますし
有名なダビンチの絵画「最後の晩餐」の絵柄も大抵の人が
見た事があるはずです。
勿論、イタリアで実物の作品に接する幸運に恵まれた人も
多いでしょう。でも大抵の人は「最後の晩餐の写真」を
見た事がある場合が殆どなのではないでしょうか。
「実物を見る」という行為は「体験」です。
「絵画の写真」を見るという事は「情報の確認」でしかありません。
現代は様々な情報で一杯ですから、残念なことに私たちは
「情報の確認」を「実際に体験した事」の様に混同してしまうのです。
そう考えると、私たちが実際に体験できる空間と時間は限られています。
江戸時代人の方が実生活では豊かな体験をしていたのかも知れません。
一番大切なのは「今ここに在る自分がたった一人で世界と向き合うこと」なのです。
写真を撮るという行為は「自分と世界との関係を記録する事」でもあります。
「世界」というのはこの場合、「いま自分が在る場所」という意味です。
それはとても狭くて必ずしも快適な所では無いかも知れませんが
かけがえの無い場所なのです。
まずは、その場所でカメラを取り出して撮影してみることから
始めてください。
写真は卒業生 難波契介さんの作品。
異文化研修旅行で訪れたグアム島で撮影されたものです。
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